プロローグ

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私の親友が死んだのは、中学2年の夏のことだった。 信号待ちをしているところに、居眠り運転のトラックが突っ込んだらしい。運転手はすぐに逮捕され、その後会社に無理な勤務を強いられていたことが分かりニュースになった。 ・・・だが、私にはそんなことどうでもよかった。 周りの人々が騒いでいる中、私は今度の週末の予定を考えていた。 そういえばこの間、真由が新しくできたカフェの話をしていたな・・・。よし、明日真由に会ったら誘ってみよう。 そんなことばかり頭に詰め込んでいた。 だから親に無理やりお葬式に連れていかれた時のことを、私はあまり覚えていない。 ・・・・・・泣いた、と、思う。 この事実から目を逸らし続けることはできない。狭い箱の中で眠る真由を見て、初めてそう思った。 私は今まで体験したことのない喪失感を味わった。 胸の奥のほうが ゆっくりと 抉れていくのを感じた。 ――その時私は、1度死んだ。
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