3/4
前へ
/6ページ
次へ
・・・人見知りには辛い状況だ。 放課後の教室に男子と二人きりなんて、私の手に負えるシチュエーションではない。 少女マンガ好きな乙女なら夢のような状況なのかもしれないが、あいにく私は少年マンガ派だ。 ああ・・・なんで編集委員になんかなっちゃったんだろ・・・。もっと早く灯と友達になれていれば・・・。あああ・・・なんかイライラしてきた・・・。 「あ!思いついた!」 「・・・っ!?」 ビクッ! 少し大きな矢崎くんの声に、思わず肩が跳ねる。 「アンケート企画にしよう!卒アルみたいなやつ!」 こちらに体を向け、ニコニコと話す矢崎くん。 ああ・・・そういえば企画を考えていたんだったな・・・。 「あ、ああ・・・!なるほど・・・!それなら書くのも楽だし、今日もすぐ帰れそうだね。」 ふふん、と得意気な矢崎くん。 ・・・思っていたより明るい人みたいだ。 2人でアンケート内容を考え、結果部分を空白にした記事をレイアウトしていく。 アンケート項目を見ていた矢崎くんが、不意に口を開いた。 「《好きなアイドル》かぁ・・・。俺アニメとかが好きだから、あんま詳しくないんだよなー。」 「へぇ、そうなんだ。・・・実は私もなんだよね。」 私は苦笑しつつも、仲間の発見を心の隅で喜んでしまっていた。 「へぇ!意外!どんなアニメ観るの?」 「えっと・・・今1番好きなのは、《サイボーグ00》かな。」 「え!?あれ俺も好きだよ!面白いよね!」 我ながらよくこんな女の子っぽくないアニメ名を言ったものだと思ったが、それ以上に矢崎くんが話に乗ってきたことが意外で、嬉しかった。 「矢崎くんも観てるの?このアニメあんまり話せる人がいなかったから嬉しいなぁ。」 「俺も俺も!いやー、小野さんとアニメの話ができるなんて意外だったなー。今週ついにボスと戦うんだよな!」 「うんうん!あー、明日が楽しみだよー!」 「・・・・・・え?明日って木曜じゃないの?サイボーグ00は金曜でしょ?」 「え?違うよ?今日が木曜日!矢崎くん1日ずれてるよ?ふふ。」 「・・・木曜か・・・はは、見逃すところだったわー。ありがと!」 矢崎くんの顔が一瞬曇った気がした。 だがすぐに笑顔になる矢崎くんを見て、そんなことは頭の外に放り出されてしまった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加