ジャンキーの憂鬱

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  新年会の途中、留衣がホールにいなかったのは、松井正吾と和泉朱里のマネージャー・九鬼(クキ)さんに連れ出されていたからだった。  音楽を消された店内、秋人が掃除機を止めた瞬間に留衣がスカウトされたことを告白してしまったもんだから、結局俺と同時に皆が知ることとなった。  皆は喜んだりはしゃいだりしていたけど──俺は、「よかったな」の一言がその時どうしても言えなかった。 「芸能界とか考えてもなかったから、ビックリしちゃった」  留衣はそう言ってた。  彼女がどうするのかは判らない。  だけど、留衣の歌を万人が聴くことになる。  それはひどく魅力的な光景に思えた。  留衣の歌はただうまいだけじゃなくて、人の心を癒し、励ましてくれる。  芸能界で勝負したとしても、かなりいいところまで行く筈だ。  松井正吾の事務所なら、尚更。 .
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