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「ホント、ビックリだよねー。こんなことってあるんだね」
シャワーの後、留衣は濡れた髪をそのままに、松井正吾の名刺を見ながら呟いた。
正直言うと、心中穏やかでない俺がいる。
もし留衣が歌手になることを選んだら、俺達の関係も変わったりするのかな、とかさ。
一緒にいたいとは思う。
けど、留衣もやっぱりいなくなったりするのかな、とか。
そう考えたら、刺すような痛みが胸に広がった。
「それ、どうすんの?」
「え?」
「いつまでに返事しろ、とか言われなかった?」
俺は留衣の隣に腰を下ろすと、彼女が肩にかけたままにしていたタオルで髪の水気を取る作業を始めた。
俺の手にされるがままになりながら、留衣はくしゅっと小さく笑う。
「その気になったら、連絡くれって。ホラ」
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