ジャンキーの憂鬱

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「暇ぁ」  広いホールに、みんなの溜め息が響いた。  今日はどうしたことか朝から強い風の中に、大粒の雪が舞っている。  いや、舞っている、なんて生やさしいもんじゃない。あれは吹雪だ。  電車はことごとく運行を見合わせているし、少し大きな道路では何十キロかの渋滞になっている、とさっきニュースで言っていた。  年が明けて間もない時期、客が少ないのは仕方ないけれど、こんな閑古鳥が鳴く程店がガランとしているのは、初めて見た。  この雪じゃ出勤出来ない、なんて女の子からの電話も何本か入ってたっけな。  折れた傘片手にレインコートを着込んでやって来た藍さんも、それだけで精魂尽き果てたかのように、ぐったりとソファーに身体を預けている。 「今日はボーズだな」  マネージャーの堂本さんが、腕組みしながら苦笑した。  出勤している黒服も、いつもの半分しかいない。 .
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