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「暇ぁ」
広いホールに、みんなの溜め息が響いた。
今日はどうしたことか朝から強い風の中に、大粒の雪が舞っている。
いや、舞っている、なんて生やさしいもんじゃない。あれは吹雪だ。
電車はことごとく運行を見合わせているし、少し大きな道路では何十キロかの渋滞になっている、とさっきニュースで言っていた。
年が明けて間もない時期、客が少ないのは仕方ないけれど、こんな閑古鳥が鳴く程店がガランとしているのは、初めて見た。
この雪じゃ出勤出来ない、なんて女の子からの電話も何本か入ってたっけな。
折れた傘片手にレインコートを着込んでやって来た藍さんも、それだけで精魂尽き果てたかのように、ぐったりとソファーに身体を預けている。
「今日はボーズだな」
マネージャーの堂本さんが、腕組みしながら苦笑した。
出勤している黒服も、いつもの半分しかいない。
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