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「堂本さん、今日の時給って保障あるんですか?」
疲れた様子の秋人が、乱れた髪のまま堂本さんの顔を見た。
「どうかな。オーナー次第」
「まだ来てないっすよね」
望みは薄いと感じたのか、秋人はがっくりと肩を落とす。
それを尻目に、今日は早く帰れそうだ……と考えていた。
「ねえ、陣」
関係者専用のドアが開いて、そこから留衣が顔を覗かせる。
どうせ休みになるだろうとぼやく俺を引っ張って来た彼女は、さっきまでのボサボサ頭をすっかりキレイにまとめていた。
「こっち来て。まだ髪濡れてる」
コードレスのヘアアイロンを片手に、留衣は俺に手招きをして見せる。
その瞬間堂本さんや秋人、藍さんまでもが一気にこちらに視線を向けた。
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