ジャンキーの憂鬱

6/21
前へ
/21ページ
次へ
  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「そういえば、聞いた?」  事務所の椅子に座らされ、髪をいじくられながら煙草をくわえていると、留衣の少し浮かれた声が落ちて来た。  一緒に暮らしてることもあって、留衣の考えていることはだいたいわかる。  彼女が話し出した瞬間、何の話題かわかることもよくある。  けど、今日はまったく心当たりがなくて、俺はかぶりを振った。 「知らない。何?」 「来週、貸し切りの予約が入ったんだって。新年会」 「へえ? 前も、結婚式の二次会か三次会とかで貸し切りあったよな」 「うん。広樹さんも堂本さんもけっこう顔広いから、たまにあるんだよね」  言いながら手を止めない留衣はかなり上機嫌だ。 「何か機嫌いいね。その貸し切りに何かあるの?」 「よくぞ訊いてくれました」  留衣は俺の髪を触りながら、顔を覗き込んで来る。 .
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

211人が本棚に入れています
本棚に追加