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「何か、わくわくするわね」
授業が終わった後、葵はメゾを尾行することにした。
先程受けていた『特殊属性基礎』の授業は本日最後の授業となる。
怪しい行動とやらが、授業中に見受けられなかったということは、学園の外で行われている可能性も考えられる。
だから、尾行。
その少し非日常的な行為に、葵は少し高揚していた。
教室を早めに出て、メゾが出てくるのを待ち受ける。
――出て来た。
マイペースに片付けを終えたメゾが、ゆっくりと教室を出てくる。
そして、葵も彼女から少し離れてついて行く。
学園内は、まず問題ないだろう、と葵は考えていた。
様々な教室からわらわらと学生が出てきては、葵のカモフラージュに勝手になってくれる。ましてや、メゾと葵には認識はない。尾行に気付かれることはないだろう。
――見失わないとしないとね。あと、警戒するのは学園を出た後ね。彼女が何処に行くのかによるけど。
そう考えて尾行を始めた――が、
教室を出る。
その教室があった棟を出る。
掲示板を見る。
寮へ戻る。
「終わり?」
思わず声が出た。
葵としてはきっと今から街にでも繰り出すのかと思っていたが、メゾは真っ直ぐに寮へと戻ってしまった。
もちろん、一時的に帰って、着替えて外出する可能性もある。
葵としては、授業が終わったら友達と遊びに行くのが日常だった。
だから、きっと彼女も――
「あら、葵ちゃん。早い帰宅ね」
そう声をかけてきたのは、寮の管理人だった。
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