葵 -2-

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葵はフォークでシフォンケーキを一口サイズに切ると、葵は口へと運び、頬張る。 相変わらずのその美味しさに彼女は少し感動した。もう数回足を運んでいるが、それでも初めて食べたときと感動は変わらない。 それは間違いなく、この店のシフォンケーキが美味しい証明だろう。 糖分が脳へと運ばれると、それはアクセルを踏んだかのように回転数を上げた。 自身が揃えた情報から一つの方針を見つけ出す。 ルームメイトがいない、となると『行動の範囲』が変わる。 というのも、通常はルームメイトがおり、互いの行動は少し抑制されるのだ。 特に深夜の外出。 これは実際可能である。 窓から出て、出入口の真反対の塀を飛び越えれば出来ないことはない。 寮は、生徒達の管理はしているが、監視をしているわけではない。 寮の部屋に入れば、もう自由だ。各々が考えて行動し、その行動に責任がある。 夜の外出も禁止にしているわけではない。ただ、申請を行えば問題なく出来る。 寮の管理人も仕事で寮に住む者達の面倒を見ているのだ。 何か事件や揉め事があったときに、寮側が何も情報を持っていないと解決の遅延に繋がる。 だから、申請だけして欲しいのだ。
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