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「で、何の用ですか?」
会議室の中に入ると、葵が不服そうにそう言った。
その言葉の中には先程の苛立ちが混じっていたことを、彼女は強く否定はできない。
とはいえ、聞きたいことは間違いなく、その言葉の通りだった。
未だティオルラに呼び出された理由を彼女は知らない。
ただ、断るのもすっぽかすのも怖くて出来なかっただけである。
「呼び出して言いたいことは二つ。説教と脅しだ」
ティオルラは無表情のまま、そう言った後に会議室の椅子に座った。
この場所は先程の葵の記憶に違いのないレイアウトである。
葵も座ろうかと考えたが、その行為も許されない気がしたので、立ったままにしておいた。
「いや、それどっちも嫌なんですけど」
「だが、貴様は聞かなければならない」
「私が何をしたっていうんですか?」
「心当たりは?」
「……どれですか?」
「殴るぞ?」
葵の回答にティオルラが睨む。
彼女としても入学してから様々な出来事あった。
それは彼女が関わることもあれば、学園で比較的に長く一緒にいる友人達が関わったことに間接的に巻き込まれたこともある。
「今回は定期戦の件だ」
その言葉を聞いて、葵は首を傾げた。
確かに、彼女は定期戦にて代表として戦った。だが、それは真っ当に役目を終えたつもりだったからである。
「え? 何かありました?」
「貴様、忘れていただろう?」
「何を?」
言葉は疑問系の応酬だった。
ティオルラの言葉を聞いても、未だに葵の中で引っ掛かることが浮かばない。
「あの代表戦の後、相手校の代表と交流会があったことだ」
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