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「あれ、でも……アルフレッド先生から説教が無いのは何故ですか?」
「あぁ、アイツは貴様がすっぽかしたことを知らないからな。出席し、問題なく終わった、と思っているはずだ」
「報告はしなかったんですか?」
「報告したら、貴様を脅す道具がなくなってしまうだろう」
ティオルラはそう言って、小さく笑うがそれは葵に恐怖しか与えなかった。
彼女も苦笑いを浮かべて返すが、ぎこちない。
つまりは、交流会をすっぽかしたことに対するフォロー、そして、アルフレッドに言わなかったこと。
これらに対して、何かしらの見返りを彼は求めているのだ。
教員とは思えない考えだが、相手が相手なので言っても仕方が無い。
願わくばややこしいことではないことを、葵は祈るのみだった。
「で、脅しってのは何ですか? 何をして欲しいんですか?」
「物分りが良くて助かるな。どうやら、脳は溶けていなかったようだ」
「それはどうも」
「用件は一つ」
ティオルラは先程までの小さな笑いを消し、真顔で言った。
「一人の生徒に近づいて欲しい」
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