9人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、どうしたもんかな……」
寮のベッドに横たわりながら、葵はティオルラから貰った写真を眺めていた。
一枚の写真の中にいるのはカメラ目線でない、一人の女子生徒だ。
灰色のショートヘアー。
口元を隠すように身につけている赤いネックウォーマー。
上半身しか映っていない写真なので、得られた特徴的な情報はそれぐらいだった。
「はてさて、この子が何をしたのやら……」
ティオルラから受けた脅し……もとい、用件はこの女子生徒が何か怪しい動きをしていないか、その情報を手に入れることだった。
「漠然とし過ぎだってば。どうやればこれ、終わりになんの? というか、怪しい動きってなんなのさ」
不服、不満は溢れ出す。本人を前には言えない分、栓が壊れたかのように止まらない。
「どうせテキトーにやっても文句言われるし、頑張ってやっても文句言われるんでしょー。やる気でないー。モチベーション上がらないわー」
ベッドの上で転がりながら、自分の中にある不平、不満を撒き散らす。
しかし、彼女も馬鹿ではない。
それを言ったところで何も解決しないことは解っているし、ティオルラの恩を無下に扱うつもりはなかった。
「……まぁ、やるだけやってみて怒られますか。それより……」
もう一回転し終えて、もう一度写真の中の女子生徒を見つめる。
「何をしたのよ、メゾ・カファシティー」
最初のコメントを投稿しよう!