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冷やで飲む日本酒は、
このところの数か月の緊張から
たちまちに、佑香を解き放った。
「係長!おめでとうございまぁす、
やりましたね、私たち!」
「ほんとみんなよく頑張りましたね!
おめでとー!」
労をねぎらいながら、
ひとりひとりの席をまわる。
みんなも饒舌だ。
ボーナスは確約もので、
この報酬と達成感が営業の醍醐味
と言っていいだろう。
もちろん伊藤君とも杯を交わす。
「おめでとう!」
「………」
--- 一瞬の間 ---
「あ、ありがとうございます。
でも、今月僕は良くはありませんでしたから…」
「そんなことないわ、大丈夫よ。
それに、
伊藤君がみんなを熱心にサポートしてくれているから
こうやって結果がでているのよ、ネ?」
佑香は実際、部下同士が協力しあって
伸びていることがうれしかった。
ただ、その全員がお祝いムードの中で、
一人だけ取り残されたような、
少し、浮かれない表情の彼の気持ちに
配慮できていたとはとても言えなかった。
ーーいや、むしろーー
気づかないふりをしていたかったのかも…
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