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根っから文系の愛藺にとっては、何を言っているのか全然わからない。
「じゃあ怪我したり、病気になったりした時はどうなるの?」
「やはり最高の状態へ戻ろうとするんだ。勝手に増殖してね。だから、かすり傷なんかはほんの一瞬で治ってしまう。実際に見せようか?」
「えっ!?」
戸惑う愛藺をよそに辺りを見渡し始めた凱悦は、ゴミ箱のそばに落ちていたビンの破片を拾い上げた。
「いや、ちょっと……」
止めようとした次瞬、彼はなんのためらいもなく、思いきり自分の手のひらを切ってのけた。
「凱悦!」
ザックリ切れた傷口から、ジワジワと血があふれ出てくる。愛藺が慌てて止血しようとすると、呑気な口調で制止された。
「大丈夫。すぐ治るから見ていて」
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