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「大婆ちゃん!?」
凱悦は黙って頷いた。
「兄さんを失うかと思うと、ものすごく不安だった。それでも僕は、血の繋がりを信じていたんだ。最後には僕のもとへ帰ってきてくれるだろうって……。こういう身体でいる限り、愛萍のことも不幸にしてしまうと思ったし……」
当事者ではないからなんとも言えないが、好きになった男性が永遠に若いままで、自分ばかりが年を取って行ったら──やはり嫌かもしれない。
「そう忠告すると、僕はますます煙たがられるようになった。その結果、兄さんが何をしたかわかる?」
その顔色は、瞬時によみがえった負の感情で真っ青になり、瞳はあまりの激情に細かく震えていた。
「僕を撃ったんだよ。虫けらを踏みつぶす時のようになんでもない顔をして」
凱悦が中庭に姿を見せた、あの時。
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