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麗星はものすごく嬉しそうに、涙すら浮かべていた。あれが偽りであるとは思えないが……。愛藺は自分の感覚に自信がなくなってきた。
「撃たれた後は悲惨だった。さすがのウィルスも急激なショック状態下では、フリーズしちゃってね。以来75年間、僕の身体は停止したまま、装置につないで生かされ続けてきたんだ」
それは、麗星がものすごく後悔したということではないだろうか。逆の立場になってみて初めて、凱悦の気持ちを理解したに違いない──愛藺はそう思った。
「それから目覚めて…突然姿を消したのはなぜ?」
そう尋ねると、凱悦は急に口ごもった。
「事実を……知ってしまったんだ」
「事実? どんな?」
「停止していた75年間……兄さんは、僕のDNAとウィルスを用いて、僕のクローンを試作していたんだ」
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