4.ラマ島

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 当然だが、人間のクローンを創ることは倫理的に許されていない。しかも敬虔なカトリックである愛藺には、まさに神をも畏れぬ所業のように思えた。 「その研究ファイルを見て……怖くなった。試作段階のクローンには、何体か創られていたんだけど、いずれも僕の『自我』がプログラムされていなかったんだ」 「どういう意味?」 「兄さんのいうことしか聞かない、都合のいい僕を創っていたんだ。そうすれば本当の僕みたいに鬱陶しくないでしょ?」  自嘲するような口元だけの笑み。 「だけど兄さんは、途中でクローンの製作を断念していた。たぶん完璧なものが創れなかったんだろうね。……そこで僕自身をつくり変える方法に切り換えた。その結果が今の僕。どうやらまた失敗だったようだけどね……」  愛藺はいよいよ混乱を極めてきた。  
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