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「……よし。行くよ!」
手を繋いだまま飛び出した次の瞬間、周囲の物影から黒ずくめの構成員が勢い良く突進してくる。
急ブレーキをかけて止まった凱悦は、腕を振り上げて襲いかかってきた先頭二人の顎を、一歩の助走もなしに片足ずつで高々と蹴り上げた。
「はがァッ!」
強烈な一蹴にきれいな放物線を描いて吹っ飛んだ二人は、後続の構成員の群れをいい具合に分断した。
それによってできた隙に飛び込んだ凱悦は、左右から次々と襲ってくる殴打や蹴りを片手だけで防御し、華麗かつ強烈な蹴りで応戦する。
先ほどより構成員の密度が低くなると、凱悦は「そこにいて」というように、生垣の側で愛藺の手を離した。
危なくないように彼女がその場へしゃがんだのを確認すると、両手が使える上に、思う存分戦うスペースを得た凱悦は、鬼神のような強さを発揮した。
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