4.ラマ島

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 称賛を込めて答えると、緊張で強張っていた表情が、ぎこちない微笑みに変わった。 「良かった。……それじゃあラマ島へ急ごう。早くこの場を離れないと本隊が来てしまう。いま何時?」 「えっと……十時半になるところ」  携帯の時計を見て答えると、凱悦は再び厳しい表情になった。 「ラマ島行きの最終フェリーは十一時だ。急がないとまずい。行こう」  タクシーを拾うべく、大通りへ出て人混みに紛れる。  目映い極彩色のネオンと熱く湿った空気、有害そうな排気ガスの匂い。  そこには、いつもとなんら変わりない香港の夜が広がっていた。  平日のせいか、歩道は早めに家路につく人々で混雑している。ただでさえ歩きにくい状態なのに、すれ違う女性たちが凱悦に見とれて立ち止まってしまうので、愛藺は何度も足を踏ん付けられたり、肩がぶつかったりして散々である。  タクシー乗り場へ着いた時には、もう揉みくちゃ状態で、息が弾むほどだった。
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