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「ねぇ、どうして英語で言ったの?」
早速気になって尋ねると、凱悦は走り出したタクシーのシートにゆったりともたれながら、いたずらっぽく微笑んだ。
「なんとなく困った外国人を装えば譲ってくれるんじゃないかな、って思って。それに会話の内容を聞いていたら、みんな帰る人ばかりで、特に急いでいる人はいないみたいだったから」
確かに彼の外見は欧米人との混血を思わせる。それにしても、福建語もタガログ語も日本語も出来るとは。医者を目指していたというから、物凄く優秀なのだろう。
「みんな優しい人たちで良かったね」
そうだろうか。愛藺は彼にだけ優しいのだと思ったが。
それはともかく、プロムナードから離れられたことで、お互いに安堵のため息がもれる。
「もう安心かな?」
「95%はね」
残りの5%は何だろう?
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