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愛藺はうっ……と息をのんだ。怖い仮定はやめてほしい。
「たぶん大丈夫さ。僕らがラマ島へ行く間ぐらいは」
本当にそうだといいのだが。
「さて、じゃあこれからどうするか話しておくね」
「うん」
愛藺も身を乗り出す。どうせなら希望ある未来について語りたい。
「まず、これを渡しておくね」
そう言って手渡されたのは、古めかしい鍵だった。青いストラップには、龍が八の字を描いた銀製の飾りもついている。
「これから行く屋敷の合鍵だよ。渡しておくから、なくさないように気をつけて」
頷いて受取り、ポケットにしまう。
「お屋敷ってラマ島のどのあたり?」
「菱角山の中腹だよ。索罟灣(ソツグワン)から歩いて十五分くらいかな。港の真ん中にある『翠海』っていう海鮮レストランのご主人が管理人をしてくれているんだ」
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