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その日、サッカー部に祐一の姿は見えなかった。クラスが違うから、何か事情があったのか、それとも何もなかったのか、そんなこともわからない。
優は早々に帰る準備をしていた。そのとき、床がきしむ音がした。誰か教室に入ってきた?
振り返ると、スポーツウェア姿の祐一が、確かに、そこにいた。
「高澤くん…」
「……おう」
「なんで……?」
優は呟いていた。
「えっ?」
祐一はぽかんとしている。
「あっ、いや、いつも部活やってるから…」
祐一は一瞬黙り込んで、それから「あぁ」と言った。
「大井に、パシられたから」
そう言って、持っている靴を持ち上げてみせた。
大井。優のクラスメイトで、あまり話したことないけど、たしかサッカー部員だ。
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