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「へぇ」
優がそう言ったきり、会話が途切れてしまった。
――こんなとき、どうしたらいいんだろう?冗談とか、悪口とか、そういうので雰囲気を保った方がいいのかな。
優がそんなことを考えていると、不意に祐一が声をかけた。
「あの、大井のロッカーって、どこ?」
「えぇと、あそこの、上の段の右から四番目」
祐一が、大井のロッカーに靴を入れに行く。優はそれをずっと見つめていた。
「あのさ」
優に背を向けたまま、祐一は聞いてきた。
「えっ?」
「いっつも、こういう風に一人で、教室に残ってるのか?」
優は思いの外、どきっとする。「え……いや、今日は提出物やってなくて、それで…残ってただけ」
「ふぅん。ま、ありがと」
そう言い残すと、祐一は教室から出ていった。
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