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「日皇証券は、バビロンの株を売らないわ。
バビロンに対する同情心や、
今までの付き合いが長いからとかそんな甘ったるい理由じゃない。
日皇はバビロンの株を持ちすぎている。
今、日皇が株を手放したら、バビロンからなし崩し的に、皆が、手を引く。
そうなれば、バビロンはひとたまりもなく、一瞬で市場から消えることになる。
そうはさせない...。
きっと今頃上層部の連中が、作戦を練っているはずよ」
レーナの真剣な表情をみて、ほんの少し不安が消えた。
甘ったるい同情心じゃないといいつつ、
冷酷非情に切り捨てない日皇に対して、尊敬の念を抱いた。
きっとレーナみたいな店員がいる百貨店で買い物をしたなら、
偽物のカシミアだろうがブランドだろうが、
私は、信じて持つだろう。
まあ、レーナが、
デパートの販売員になることは一生ないだろうけれど。
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