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レーナは、お土産のエシレのフィナンシェを口に運んでいた。
発酵バターの甘い香りがこちらまで漂い、食指を促された。
思わず手を伸ばすと同じタイミングで、
成宮さんの伸ばした指先と触れあう。
バターの油でぬらぬらと爪の先が濡れている。
その指先から、フィナンシェを受け取り、口へと運ぶ。
歯先に触れた途端に、さくりと音を立ててほろほろとほぐれていった。
「バビロンの体力が持てばっていうのは?
どういうことですか?
告発した人間を見つける前に、会社がつぶれるってことですか?」
「その可能性もある」
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