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「非情だと思うだろうけれど、これが相場の世界なんだ」
彼の言葉と共に、ティーソーサーを受け取った。
丸いフォルムの白い陶磁器のカップが、カチカチと小刻みに震える。
指の先をひっかけて、ソーサーから離すと大人しくなった。
細かい茶葉が秋色の湯の中を鯉の如く優雅に泳いでいた。
その中へと、枯れ葉を落とす。
「レーナの会社もバビロンの株を売るの?」
顔色一つ変えずに、
淡々と語っていたレーナが瞳を潤ませて私を見つめた。
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