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「怒らねえの…?俺のこと、責めねえの?」
中川は、本気なのだろうか。
せっかく会って、なんでいまさら掘り返さなきゃいけないの……?
少しムッとしたけど何も言えず黙り込む。
「ほんとは思ってるだろ?なんで迎えにこなかったんだって。ほんとに好きだったら甲子園優勝できなくても迎えにくるだろって」
目の前には田んぼが広がっていて、ある程度の範囲までは電柱の上部に取り付けられた蛍光灯で反射して見えるけど、その先は、真っ暗。
まるでこれからのわたしの人生を映してるようで少し怖くなる。
「正直に言えよ」
視線は合わせずただひたすらボーッと目の前に広がる景色を見つめる。
心を落ちつかせなきゃどうにかなっちゃいそうで。
だけど彼はそんなのお構いなしというように座ったままわたしのほうに回り込んできた。
「思ってんだろ?」
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