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もう我慢できなかった。いや、我慢の限界だった。
「思ってるよ!そんなの当たり前でしょ?っていうか、そっちこそ正直に言ったらどうなの?冷めたんなら冷めたって正直に言ったらいいじゃん。俺じゃ幸せにできないとか、そんな言葉でごまかさないでよっ」
全部言ってから、ハッと我に返って視線を移すと、彼は深く俯いた。
「ごめん…」
ボソリとつぶやく中川に、つい今自分の口から出た言葉を猛反省する。
なにやってんだろ、わたし。
こんなことが言いたかったんじゃない。
「ごめんな。……かりな」
「わたしこそごめん…久しぶりに会ったのにこんなこと言っちゃって」
「いや俺が悪いんだ…」
「ほんとはね、待ってたよ?ずっと……ずっと、待ってた。中川が、迎えに来てくれること」
反応は得られないけど、わたしはそのまま続ける。
「でも待っても待っても迎えはこなくて……20歳になって、初めて彼氏ができて。中川のことは諦めようって。忘れようって。何度も思った。でもそんなことできなかった。だって小学校四年生のときからずっと好きだったんだよ?だからそんなに簡単に忘れようなんて無理だったの」
「かりな…」
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