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「中川は……?」
自分の気持ちは全部伝えた。
だからあとは中川の気持ち、正直な気持ちを聞きたかった。
「中川はどう思ってるの?わたしのこと」
「どうって……」
「いいの、怒らないから。わたしは大丈夫だから…教えて?正直な気持ち」
彼の膝に自分の手を載せてゆっくりと待つ。
「好きだよ」
「えっ……?」
当たり前のように発せられたその言葉をさらっとなんて呑み込めない。
「だから大好きだって言ってんだよ」
スッとこちらに体勢を移して、そしてしっかりと目を見てくる。
「えっ、でも…」
「俺だってお前に出会ったときからずっと変わらず好きだよ」
「じゃあ…なんで?なんで迎えにきてくれなかったの?」
「それは…」
「それは…?」
「いろいろあって……」
そう前置きするとゆっくりと話し始めた。
「俺の妹、産まれた頃から心臓弱くてさ。小さいときから入退院を繰り返してて。そんななかで俺は自分の好きな野球をやらせてもらってたんだ…親も共働きで結構治療費とかでも家計が苦しくてさ。それでも、俺の将来の夢、応援してくれてさ。野球続けろって背中を押してくれて。だから俺、絶対プロ野球選手になって親孝行しようって決めたんだ。プロになるには甲子園に出るのが当たり前で。出るだけじゃなくてそこで活躍しなきゃスカウトされない。だから必死だった」
「知らなかった…知らなかったよ?そんなこと」
「もちろんかりなに言ったことは嘘でもなんでもない。活躍してかりなに知ってもらいたかった。お前を助けられなかったことも野球をする上ですっげえ、俺のモチベーションになってた」
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