最後にやっと

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「かりな……お前彼氏は…?」 「別れたよ」 「えっ…?」 「当たり前じゃん……別れて、何もかも捨てて、中川に会いに来た」 「……」 「わたしの幸せは中川の幸せだよ?」 「……かりな」 「だから、もし…中川が迷惑だって言うんなら…」 最後まで言う前にバッ、と強く引き寄せられて一瞬時が止まったかのように思われた。 「迷惑なわけないだろ…」 さらにギュッと抱き寄せられて、うまく呼吸ができない。 「ほんと…?」 「当たり前だろ」 「大好きだよ」 中川の肩に頭をちょこんと乗せてそっと耳元で囁く。 「俺も大好きだよ。今までも。そしてこれからもずっと」 中川の長い手がわたしをすっぽりと覆った。 彼の温もりを肌で感じる。 「かりな…?」 「ん?」 「俺のこと許してくれる?」 「許すって?」 「これまでずっとかりなのこと守れなかったこと。助けられなかったこと」 「じゃあ逆に質問していい?」 「いいよ」 「これからわたしのこと守ってくれる?」 「おう」 「ほんと…?」 「一生かけて守り抜くよ」 「絶対?」 「絶対」 「じゃあ許す」 「よかった~」 「なにそれ」 「だって俺ずっとそのこと気にしてたから。高校三年の夏、かりなに会ったときこの場所で、ほんとは告白したかった。でもできなかった。それはかりなのこと傷つけた、守れなかったっていう後ろめたい気持ちがあったから…」 「いいよ、もう」 「これから先なにがあってもお前のこと守り抜くって約束するから」 「それさっきも聞いた」 「おいっ」 中川の肩でくすくすと笑うわたしの頭を彼はそっと撫でてくれた。
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