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ゆっくりと抱きしめる手が緩められてふっと二人の間に隙間ができる。
彼の手は、わたしの肩にゆっくりと移されて体がふいに浮いたかと思うとそっと引き上げられた。
自然と瞳を見交わし、ニッコリと笑い合う。
グーっと中川の顔が近づいてきておでこをくっつけてきたかと思うと鼻をすりすりしてくる。
それがとってもくすぐったくて、思わず笑みがこぼれた。
外は真っ暗で、人の気配は、全くない。
外灯だけが、煌々とわたしたちを照らしていた。
どちらからともなく唇を重ねる。
恥ずかしい………
だけど一瞬たりとも離したくなくて。
それを彼も感じ取ったかのように、次第に深く、熱くなっていった。
わたしの頬には一筋の涙がつたう。
これがまいかの言ってた幸せの涙なのかな?
やっと掴んだ幸せ。
今となってはこの幸せを掴むためには、これだけの時間が必要だったんだって素直に受け入れることができる。
ずっとずっと大好きだった人と結ばれる。
これは必然でも偶然なんかでもない。
奇跡なんだってわかった。
だからこの奇跡をしっかりとこれからも大事にしていこう。
そう強く心に決めた。
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