悪魔召喚プログラム

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「アマネ…目を覚まして。」 ゆっくりと目を開ける。 「彼も中々素直に気持ちを見せないね。本当に似た者同士かもね。」 「コカ…私…」 「全部聞こえたし、見えたでしょ?」 頷く私は下着姿だ。 顔を真っ赤にして洋服を着た。 「この格好に意味はあったの?」 「ごめんね、アマネ。でも脱ぎ捨てた洋服を見つめた彼の顔、良かったでしょ?」 「悪趣味っ!!」 コカが私の肩を掴む。 「そんな事言っていいの?」 「ちょっ、コカ…」 「本当に僕のモノにしてやろうか?嫌だって言っても、さっき言ったみたいに魔法で言う事聞かせる事だって出来るんだよ。僕達は…。」 僕達は…? コカが柔らかく微笑む。 「そうだ、もう一つ罠をかけよう。」 コカが立ち上がると部屋中を歩き指で何かを書いている。 「何してるの?」 「方陣を張っておいたから。もう、彼はこの部屋には入れないよ。」 「っ!!」 「例え殺人鬼が押し入って来ても、強盗が押し入って来ても…彼はこの部屋に入る事が出来ない。」 心の中がざわめく。 ゼルが部屋に入れない…。 「この部屋に入れる悪魔は僕だけ。アマネがどんなに泣いても叫んでも、入る事は許されない。」 「そ、そうなんだ…良かった。」 コカが怪しげに微笑む。 「じゃあ、僕はこれで帰るけど…そうだその指輪、僕が預かるよ。」 コカが私の黒い指輪をスルリと指から引き抜く。 「あっ…」 「アマネ、和哉に会いたい?」 コカの言葉に目を見開く。 そう言えばさっき、和哉がどこにいるか知ってる口ぶりだった。 「会いたいっ!!会わせてくれるの?和哉は何をしてるの?どこにいるの?」 コカは私の目をジッと見つめると言った。 「今すぐは会わせてあげられない。だけど必ず会わせてあげるよ。」 コカは私の頭をくしゃりと撫でると姿を消した。 私は指輪が無くなった人差し指を暫く見つめていた。
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