悪魔召喚プログラム

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弟が中学生の時、『悪魔召喚プログラム』の攻略本を買って来た。 攻略本にはゲームの攻略以外にも、悪魔の挿絵や性格が書いてあった。 「お姉ちゃん、死んだら何になりたい?」 「えっ?…まぁ、とりあえず天国に行きたい。」 「そうじゃなくて、死んで、何かになれるなら何になりたい?」 「死んだら幽霊じゃん。」 「もーいい。」 「あんたねー、中学生になったばっかなのに死んだら何になるかなんてバカな事考えてないで、生きてる間に何になりたいか考えなよー。」 弟はゲームの攻略本を開きながら挿絵の悪魔を見ていた。 「俺は鬼神か破壊神になりたいなー。」 「バーカ、なれる訳ないじゃん。幼稚園児みたいな事言わないの。」 「お姉ちゃんこのゲームで一番好きな悪魔って堕天使って言ってたっけ?妖魔だっけ?」 「ゲームと現実を一緒にしないの。」 チラリと私の顔を見るとため息をつく弟。 「はいはい、私が一番好きな悪魔は幻魔。このゲームの話だからね。」 「弱いのに、そればっか拘るよねー。見た目とかより普通は強さでしょう…。」 「いいの、私は見た目重視なんだから。」 それから弟は高校生になって更に悪魔や天使、神々に興味を持っていき、最終的には高校を辞め、ほとんど部屋から出なくなった。 「和哉ー、入っていい?」 「だめー。」 「なんでよ、入れてよ。ケーキ買って来たから!!」 「はぁー…」 大きなため息をつくと部屋の鍵を開けてくれた。 「うわっ、あんたお風呂入ってる?部屋ん中くっさー!!」 「じゃあ帰れば?」 「もー、うるさい。ほら窓開けるよ!!」 弟の部屋の窓を全開にして空気の入れ替えをする。 部屋の中は前よりパソコンと本が異常に増えていた。 「またパソコン買ったの?」 「作ったの。買う金なんて無いし。」 「ぱ、パソコンって作れるの?」 「パーツを安く買い集めて作るの。で?今日は何の用?」 和哉はパソコンに向かったまま迷惑そうにしている。 「何の用じゃなくて、学校辞めたんだから、これからどうするのか真剣に考えなさいよー。」 「出た出た…」 「出た…じゃなくて、貴方これからどうするの?何かやりたいことないの?」 和哉がチラリと私を見上げた。
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