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面倒な女だと思われないだろうか。思わず、梨花はそう考えた。
「教えていただけて光栄です」
梨花の不安を一蹴するように、和敏に向かって、狭霧は恭しく頭を下げた。
「ぼくのような若輩者を見込んで呼んでくださったこと、感謝します」
狭霧は、昼は平凡な大学生だが、夜は特派の情報員、そして結界師として働いている。裏方から呪術戦まで、梨花のように正面切っての白兵戦は苦手にしても繊細なことが得意だった。特に術に関しては、大人たちも舌を巻く。
「精一杯勉強させていただきます」
柔和な微笑を浮かべる狭霧は、人当たりもいい。和敏は満足そうにうなずいた。
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