【3-6】晴天

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そういえば10年前は胡桃ちゃんに言われたんだった。 幸せになる為に幸せにしてあげる。 それって何て幸せなんだろう。 「そうだね。 私だって幸せになりたいもん。」 私はようやく唯人の想いに気付いた。 自分を深く愛してくれる人を幸せにしてあげたい。 想いに順位なんか付けられないけど、きっと小鳥遊くんは私がいないと幸せになれない。 そして唯人は私じゃなくても大丈夫だ。 そう思えば全ての事が納得できた。 「ありがとう。」 海斗くんは教会の中へと消えて行く。 私は父の腕に手を掛けた。 教会の木製の扉を前にして、顔は真正面。 「お父さん…、今までありがとう…。 私幸せになるね。」 「ああ、幸せになっておいで…。」 そろそろ定年間近の父の、気弱で優しい言葉。 10年前とは大違い。 あの時の父は始終ムスッとしっ放しだったから…。 ホテルのスタッフの人の合図と同時に扉が開く。 ギーッと音と共に、一歩、二歩と、 私は今小鳥遊くんの元へ。 .
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