【1】晴れのち曇り

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私はさっきから交わったままの漆黒の瞳から目が離せない。 吸い込まれそうな黒。 その瞳と同様の漆黒の髪。 その黒によって白肌が引き立てられて、まるで美しい獣みたい。 綺麗…。 身長も空と同じくらい、もしくはもっと高いかも…。 その姿はまさに王子だと思った。 そして私は彼から目が離せなくてすでに釘付け状態。 「小鳥遊、早く自分の席に着きなよ!」 と、その時私の意識を呼び覚ますように真麻の声が聞こえた。 私はハッと我に返ると、 それと同時に黒王子はプイッと横を向いて歩いていった。 あ、鼻高い。 やっぱり目が離せない。 でもこれはきっと誰でもそうなる。 それぐらい彼は美しいのだ。 ああ、それにしても私は何て事をしてしまったんだろう…。 我に返った途端自己嫌悪。 もう教室中この話題で持ちきりだ。 「痴女」だとか「エロ女」だとかあっちこちから聞こえてくる。 しまいには「小鳥遊くん可哀想!」の声。 きっと空の耳にも入るんだろうな…。 と、一気に憂鬱。 吐き出される大きなため息。 私は新学期早々二度目の落ち込みを開始する羽目となった。 .
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