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私はさっきから交わったままの漆黒の瞳から目が離せない。
吸い込まれそうな黒。
その瞳と同様の漆黒の髪。
その黒によって白肌が引き立てられて、まるで美しい獣みたい。
綺麗…。
身長も空と同じくらい、もしくはもっと高いかも…。
その姿はまさに王子だと思った。
そして私は彼から目が離せなくてすでに釘付け状態。
「小鳥遊、早く自分の席に着きなよ!」
と、その時私の意識を呼び覚ますように真麻の声が聞こえた。
私はハッと我に返ると、
それと同時に黒王子はプイッと横を向いて歩いていった。
あ、鼻高い。
やっぱり目が離せない。
でもこれはきっと誰でもそうなる。
それぐらい彼は美しいのだ。
ああ、それにしても私は何て事をしてしまったんだろう…。
我に返った途端自己嫌悪。
もう教室中この話題で持ちきりだ。
「痴女」だとか「エロ女」だとかあっちこちから聞こえてくる。
しまいには「小鳥遊くん可哀想!」の声。
きっと空の耳にも入るんだろうな…。
と、一気に憂鬱。
吐き出される大きなため息。
私は新学期早々二度目の落ち込みを開始する羽目となった。
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