【1】晴れのち曇り

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「ホットコーヒーと紅茶。」 するとそのカップルの片割れ、帽子を深々と被ったやけに怪しい男が私に注文をする。 私はオーダーを紙に書きながら二人を見下ろせば、 男の向かいに座る女性はなぜかハンカチを目元に当てているし、 こりゃ訳ありカップルだな、と思った。 私はカウンターに戻ると鷹くんにオーダーを伝えて、すぐに遠目からそのカップルを観察する。 修羅場かな? 少しだけミーハー気分でワクワクしていた。 だって勉強しかしてこなかった私は、空とは手を繋ぐくらいしか進展がない。 でもそれでもよかった。 私は空とはゆっくり愛を育んでいきたい。 そして私が思考をこんな風に空絡みに脱線させていると、ここからだと背中しか見えない男が帽子を取ったところだった。 やったー、顔が拝めるー!! 「はいよ。」と鷹くんに渡されたコーヒーと紅茶をトレンチに乗せて、私は少しテンション高めでまたまたカップルの元へ。 カチャカチャとテーブルに紅茶、コーヒーの順に置きながら、私はチラッと二人の様子を窺った。 「…好きなのよ。 私の気持ちをなかった事にしないで…。」 女性は私の存在を無視して必死に男に懇願しているようだった。 すると気まずそうに男が私に顔を向ける。 はて、この顔は? あれ?え? .
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