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「ホットコーヒーと紅茶。」
するとそのカップルの片割れ、帽子を深々と被ったやけに怪しい男が私に注文をする。
私はオーダーを紙に書きながら二人を見下ろせば、
男の向かいに座る女性はなぜかハンカチを目元に当てているし、
こりゃ訳ありカップルだな、と思った。
私はカウンターに戻ると鷹くんにオーダーを伝えて、すぐに遠目からそのカップルを観察する。
修羅場かな?
少しだけミーハー気分でワクワクしていた。
だって勉強しかしてこなかった私は、空とは手を繋ぐくらいしか進展がない。
でもそれでもよかった。
私は空とはゆっくり愛を育んでいきたい。
そして私が思考をこんな風に空絡みに脱線させていると、ここからだと背中しか見えない男が帽子を取ったところだった。
やったー、顔が拝めるー!!
「はいよ。」と鷹くんに渡されたコーヒーと紅茶をトレンチに乗せて、私は少しテンション高めでまたまたカップルの元へ。
カチャカチャとテーブルに紅茶、コーヒーの順に置きながら、私はチラッと二人の様子を窺った。
「…好きなのよ。
私の気持ちをなかった事にしないで…。」
女性は私の存在を無視して必死に男に懇願しているようだった。
すると気まずそうに男が私に顔を向ける。
はて、この顔は?
あれ?え?
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