【1】晴れのち曇り

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く、黒王子ーっ!! ひえーーっ!! ま、間違いない。 この麗しのスーパーフェイスは間違いなく今日見たばかりのあのイケメン王子だ。 彼は今最大限にその醸し出されるオーラを閉じ込めてはいるけど、帽子を取ったら意味ないよー、と私は心の中で訴えた。 そして暫し目が合うも彼は私に気付く筈もなく、プイッと正面に顔を戻した。 「ねえ、聞いてる?」 と言って黒王子に現在告白中の彼女は、とにかく必死のご様子で黒王子の手を艶かしく掴む。 うわー。 この人私よりすごく歳上だー。 アラサーかな? スッゴ!! 「ではごゆっくりー。」 私は内心ドキドキしながらその場から離れると、何となく自分の生きてる世界とは違った、彼は別世界の住人のように思えた。 大人だ…。 だけど不意に耳に入ってきた彼の言葉に正直驚きを隠せなかった。 「母さん、もういい加減にしてくれ…。」 …え…? 何?母さん? 今母さんて言った??? 私は慌てて振り向くも、女性はポタポタと涙を流して俯いていた。 その頬に戸惑いながら触れる長くて細い指先。 その指がそうっと涙を拭っていく。 彼の顔が見えなくても、その行為一つで私はわかってしまった。 二人は同じ気持ちだ…。 .
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