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でも母さんって言ったよー!!
どういう事ーーっ!?
私は頭の中でグルグルと禁忌という言葉が回っていた。
だけど人には言えない事もある。
私はそれを良く知っている。
だから私は何も聞かなかった事にする。
「鷹くん、私もうあがるね。
明日は無理だけど明後日なら大丈夫だから。」
と言って着替えに入る。
コツコツと春色のパンプスの音を響かせて、「お疲れ様でしたー。」
私はカランカランとアルカディアを出て駅へ向かう為に歩き出す。
そして店の横を通り過ぎると私は深く息を吐いた。
アルカディアの窓の向こう側、店の中の彼はすでに一人だった。
あの女性は泣きながら立ち去ったのだろうか?
項垂れる彼を見た瞬間に胸の中に靄がかかった。
それぐらいに彼は辛そうに見えたのだ。
それでも私はもちろん知らないフリをして通り過ぎるだけ。
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