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「ねえ空?」
「んー?」
「今日何か変な噂聞いた?」
夜の9時過ぎ、私は空の部屋のベッドに寄りかかりながら、何となくドキドキしながら国語の教科書をパラパラとめくっていた。
どのタイミングで痴漢騒動を打ち明けようか考えていた。
「うーん、噂ねー。」
だけど空の返事は知ってるのか知らないのか曖昧だ。
しかも空はベッドにゴロンと横になって目を閉じている。
きっと眠いんだ。
「…言っとくけど私痴女じゃないからね。」
だから私の方も曖昧な言い方になってしまう。
空が知らなくても取り敢えずは身の潔白だけは伝えておこう、そう思った結果がこれだ。
すると空は私の髪を一摘み。
それをクルクルと自分の指に絡めていく。
「…浮気すんなよな。」
ボソッと空の口から聞こえたそれは、私の胸を熱くするもので、それは明らかに彼女扱いしてくれている言葉で、
私は嬉しくて胸がキューんとなった。
「しないよ。
浮気なんかする筈ないじゃん!」
少しだけ大きめな声を出して私は空に振り返る。
その瞬間指に巻きつけられた髪が突っ張って、
「痛っ!」
「わっ、バカ、急に振り向くから!
ちょっと待ってろ。」
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