【1】晴れのち曇り

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晴れ渡る空。 この季節になるといつも思う。 ああ、素敵だなって! 春は私の大好きな季節。 見上げれば桜は綺麗だし、地面には可愛いタンポポ。 花壇には色とりどりのチューリップ。 色鮮やかな世界。 まるで私の名前のよう。 私の名前は沖田 七色。 『なないろ』なんて変わった名前だってよく言われるけど、 私はものすごーく気に入っている。 だって、 「七色ー! 早く学校行こうぜー!!」 大好きな空に毎日のように呼ばれてる。 「待ってー、今行くー!!」 今日は新学期。 私と空は南多摩高校の2年生。 「ねえ空!」 「んー?」 「今年こそ同じクラスになれるといいね!」 「ハハ、そうだな。」 私、沖田 七色と水澤 空は、家が隣同士の幼なじみ。 学年も同じで超仲良し。 そして実は中学の頃から付き合っているのだ。 私は空が大、大、大好きで仕方ない。 空だって口には出さないけどきっと同じ気持ちな筈。 「七色走るぞ!! 早くしないとバスに乗り遅れるぜ!!」 「わーん、待ってーー!! 置いてかないでーーー!!」 私はいつも空の背中を追いかけている。 .
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