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空は身体を起こして私の後頭部で何やら作業中。
多分クルクルと自分の指から髪の毛を取り外してるんだろう。
そんな空の息が耳にかかって擽ったい。
ドキドキして体温が上昇中。
キスしたい…。
空とキスしたい。
私は自分でも気持ちが舞い上がっているのがわかった。
空にもっと近付きたい。
「取れた。」
そう言って私から離れる空の服をギュッと掴む。
空が驚いたように目を瞬かせた。
長い睫毛が印象的な空の瞳はどこか女性っぽくて中性的だ。
「…キスしたい。」
自分でも信じられないような事を口走っていた。
だけど空はクシャッと顔を歪ませると、言葉に詰まったようなカラカラの声で、それでも小さく声にした。
「…ゴメン。
俺は七色には触れない。」
「…何で?
私たち付き合ってるのに…。」
ゆっくり愛を育みたいと思っていたくせに、私は本心ではずっと空に触れて欲しかった。
「ゴメン…。」
空にもう一度言われて涙がジワリと浮かび上がる。
悲しい…。
それはやっぱり空に拒絶された事がだけど、私は心のどこかで何となくわかっていたんだ。
…白王子、
空には白とは言えない部分があった。
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