【3-6】晴天

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「お父さん!」 声をかけると父はすでに涙ぐんでいた。 10年前とは少しだけ違う光景。 やはり嬉しいんだ。 娘に幸せになって欲しいと願う親心に今初めて触れた気がした。 34歳だもんね…。 じきに私もアラフォーになる。 「ナナイロ…、」 「ん?」 海斗くんが中に入れば式が始まる。 「式の前に言っときたい事があって…、」 「何?」 海斗くんが私を迎えに来たのは多分言いたい事があったから。 私は海斗くんを真正面から見上げた。 小鳥遊くんと同じ漆黒。 「俺…、もしかしたらナナイロは兄貴を選ばないんじゃないかって…、 正直不安だった。 事故に遭って、足が不自由になって、 兄貴の奴ずっと散々だったんだ…。」 「事故?」 え? 「やっぱり知らなかった?」 「う、うん…、それはいつの話?」 「4年前…。」 4年前…? 私の中での空白の4年間。 小鳥遊くんの4年間。 それが一本の線となって繋がる。 「兄貴を選んでくれてありがとう…。」 海斗くんは私にニコリと笑う。 「ナナイロ、兄貴を幸せにしてやって!」 幸せにしてやって…。 胸に染みる確かな言葉。 .
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