391人が本棚に入れています
本棚に追加
「夫たる者よ。
汝…、健やかなる時も、病める時も、
常にこの者を愛し…、
慈しみ、守り、助け、
この世より召されるまで固く節操を保つ事を誓いますか?」
神父の言葉。
小鳥遊くんは本物の王子様のように佇み、その白いタキシード姿が私には特別に映った。
漆黒の髪は綺麗に後ろに流れて、そこから覗く瞳は何の迷いもなかった。
「幸せになる為に…、誓います。」
小鳥遊くんは消え入りそうな笑顔を浮かべて私を見る。
願いとも取れるその笑顔は私には苦しかった。
「妻たる者よ。
汝…、健やかなる時も、病める時も、
常にこの者に従い…、
共に歩み、助け、
固く節操を保つ事を誓いますか?」
今はまだ私の心には唯人がいる。
唯人がいる。
だけど…、
『きっと幸せになれる。
ナナはまたあの人を好きになる。』
さっきの唯人の言葉を信じて…、
私は再び小鳥遊くんを愛する…。
「二人で幸せになる為に…、誓います。」
.
最初のコメントを投稿しよう!