【3-6】晴天

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いつだったか小鳥遊くんが言っていた言葉を思い出した。 『誰もが愛し合って結婚するとは限らない…。 そういう人も世の中には大勢いるんだ…。』 その大勢いる中の一人だったとしても、なぜか私は自分が不幸だとは思わなかった。 それはきっと相手が小鳥遊くんだから…。 カラーン、カラーン…、 幸せになる為の音がする。 真上で鐘が鳴っている。 私と小鳥遊くんはエントランスでフラワーシャワーを受ける。 パラパラと舞う無数の花弁。 私の両親に天斗、真麻、胡桃ちゃん。 それから小鳥遊くんのお父さんと瑞穂さん、海斗くん。 こじんまりとした結婚式でも、それはそれで満たされている。 幸せになれる予感がする。 ブーケトスのトラウマも、この階段も、全部全部塗り替えられる。 新しい記憶に塗り替えられる。 私は階下に向かって白いカラーの花束をポーンと放った。 ユラユラと落ちるそれを華麗にキャッチする一人の男性。 私はその人に向かって声を張り上げた。 「唯人ー、絶対に幸せになってねー!! ありがとー!!」 唯人に向かって手を振る。 唯人もカラーを持つ手で大きく大きく手を振った。 「こっちこそありがとー!!」 俺、ナナと出会えて幸せだったよ…。 うん、私も幸せだった…。 私は唯人に最後の笑顔。 唯人も最後まで笑っていた。 .
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