【3-6】晴天

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遠慮はしない。 私が空に向けた愛情、それを全部見てもらう。 私は空の頬にするりと手を当てた。 そしてそのままスリスリとなぞる。 なめらかな肌の感触、髭の感触、それを確かめながら指を滑らせる。 柔らかな髪に触れ、伸びた髪に喜びを感じる。 トクン、トクンと鼓動する心臓。 私は空の胸に顔を埋めた。 生きてるって実感を最大限に感じながら目を閉じる。 空の体温、空の温もり、 それは前と変わらずあるもので、私はそれに安堵する。 それだけでも十分だ。 「アイツもここに来た事があるのか…?」 小鳥遊くんの問いかけに私はゆっくりと顔を上げた。 「唯人は…、」 そしてその時目に入ったのはオレンジと黄色のガーベラのアレンジメント。 誰かが空のお見舞いに来た証拠。 空の家族は花は贈らない。 私も数える程だ。 だったらこのアレンジメントは誰が? 私には何となくわかっていた。 「唯人は2回だけ…。」 一度目はリンドウの花束を持って高校生の頃に。 二度目はきっと昨日…。 「そっか…。」 小鳥遊くんは複雑そうな顔を浮かべてクシャクシャと髪を掻いた。 .
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