【1】晴れのち曇り

9/30
前へ
/872ページ
次へ
私の視界には真麻。 それを遮る黒い物体に気付く事なく頬杖を崩した手。 その手が、その左手が、 その私の手がーーーーっ!! 「ぎゃあああああっ!!」 当た、当たってしまったーーっ!! ひーーっ!! ちょうど机と机の間を歩いていた男子生徒の股間に、タイミング良く私の手が当たってしまったのだ。 それを悟った瞬間サーッと青ざめる私。 「ゴメンなさいっ!!ゴメンなさいっ!!ゴメンなさいっ!! わざとじゃないんですっ!!」 私はとにかくペコペコと頭を下げて謝った。 その男子生徒の顔も見る事もできず、ただひたすら起き上がり小法師のようにペコペコした。 すると私の頭上から軽蔑を含んだような低く冷めた声が。 「…いちいち煩い。」 い、いちいち煩い…? 一度頭の中でリピートしてからその言葉に反応するも、私が静かに見上げた先には眩いくらいの端正なお顔が。 あまりの驚きと美しさに硬直してしまった私は、ただ金魚のように口をパクパクと動かすだけ。 黒王子…。 この人が誰かなんて聞かなくてもわかった。 だって眩しい! だってすごく眩しいんだもん!! .
/872ページ

最初のコメントを投稿しよう!

391人が本棚に入れています
本棚に追加