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私の視界には真麻。
それを遮る黒い物体に気付く事なく頬杖を崩した手。
その手が、その左手が、
その私の手がーーーーっ!!
「ぎゃあああああっ!!」
当た、当たってしまったーーっ!!
ひーーっ!!
ちょうど机と机の間を歩いていた男子生徒の股間に、タイミング良く私の手が当たってしまったのだ。
それを悟った瞬間サーッと青ざめる私。
「ゴメンなさいっ!!ゴメンなさいっ!!ゴメンなさいっ!!
わざとじゃないんですっ!!」
私はとにかくペコペコと頭を下げて謝った。
その男子生徒の顔も見る事もできず、ただひたすら起き上がり小法師のようにペコペコした。
すると私の頭上から軽蔑を含んだような低く冷めた声が。
「…いちいち煩い。」
い、いちいち煩い…?
一度頭の中でリピートしてからその言葉に反応するも、私が静かに見上げた先には眩いくらいの端正なお顔が。
あまりの驚きと美しさに硬直してしまった私は、ただ金魚のように口をパクパクと動かすだけ。
黒王子…。
この人が誰かなんて聞かなくてもわかった。
だって眩しい!
だってすごく眩しいんだもん!!
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