第1話 †朋美†

2/15
前へ
/87ページ
次へ
「ひまねー。誰か来ないかしら?」 小さなテーブルに頬杖をつき、小さな椅子に座って足をぶらぶらさせながら女の子が呟く。 「そんなこと言って、誰か来たらめんどくさいって言うくせに。」 少女の呟きに答えながら何かがテーブルに飛び乗る。 「だって、暇なのも忙しいのも嫌いなんだもの。仕方ないじゃない?」 目の前にやってきた白いものを見ながら少女は言う。 「まったく。楓(かえで)はわがままなんだから。」 「…なんか、だんだん口うるさくなってきたんじゃないの?ハル」 楓と呼ばれた少女は目の前にいる白うさぎにそう答える。 「そんなことないわよ。 ん?お客様よ、楓。」 ハルは耳をぴくぴくさせると楓にそう告げテーブルからぴょんと飛び降りる。 と同時にチリンとドアに付けられたベルが鳴る。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加