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◆◆◆
日が傾いていた。
ゴミを詰めたポリ袋も5袋に達し、公園内のゴミはほとんどなくなった。
額を伝った汗をぬぐうと、ついでに出てきたため息に反応し春一番も満足そうに顔を上げた。
「きれいになったじゃないの」
「こんだけやりゃあな……」
瞬間、そのまま空さえ飛てべてしまいそうなほどの一迅の強風が吹きぬける。時間差でそれに反応するように、植樹された桜吹雪は、この日一番の大爆発をもってして僕たちの清掃活動の終了を告げた。
「4月に到来する雷雨の事を総称して春一番だっていうけど」
気が付けば、彼女の足元からパラパラと桜の花びらが風に乗って飛んでいっている。何かが風化していく様を早送りで見ているように、少しづつ、彼女の身体は桜の花びらに換算されて風に消えだしている。
驚きはしない。春は出会いと別れの季節。今、別れの時間帯がやってきているだけだ。
「でも、嵐っていうのはさ、全てを浄化してしまう存在であると言われてるんだ」
驚きはしない。でも、斑点のような悲しみはつのっていく。
「毎年毎年の事なのに、やっぱ心は痛むなぁ」
「5年もすれば慣れるさ」
「5年前にも言われた気がする」
アハハ、と最後に小さくはにかんだのを最後に、彼女の身体は全部春の色に染まった。
つむじ風に乗って、螺旋を描いて空に飛んでいく彼女を見ながら、心の中で手を振った。
--来年も来いよ
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