俺は勇者じゃないと思う

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 魔王、いきなり俺の目の前にふわりと跳んできた。 「愛人になれー言うとるやろ、ええ加減に観念せえや!!」  まさかの関西弁だ。しかもかなりネイティブ。 「…お、オリンピック目指してます?」 「そうとも! 美しい着地やから余裕でいけるーて、なんでやねん!!」  すぱーん、とハリセンが叩きつけられた。  音はすごいが、あまり痛くはなかった。さすが関西系魔王だ、なんとなくだけど。 「修繕費用ください」 「愛人になれ!」 「奥さんと子供泣きますよ?」 「おらんからええねん」 「…それ、普通は恋人って言わね?」 「愛人のほうが格好ええやん。魔王っぽくて」 「えー、残念だなー、恋人ならなってもいいのにー、愛人かー、無理だなー」  むう、と困った顔になった超絶イケメン関西系魔王。 「じゃあ、いらへんっ!!」  ふーんだ、と背中を向けた。  ちょっと…可愛いかもしれない。 「とりあえず形だけ直訴状置いときますんで、帰りまーす」 「帰っちゃ…、やだ」  振り向いてしまった。  拗ねたように唇をとがらせてる超絶イケメン関西系ツンデレ魔王。 「じゃあ、愛人じゃなくて、恋人じゃなくて、城の職員にしてください」 「……いいよ」  よし、就職決まった。
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